JAZZをテーマに、二つのバンドと小物達を描きました。
煙るバーの中で繰り返される演奏は、人生は、流れつづける…


▲「ギターを奏でて」
 
彼はギターを奏でてる。このざびれたバーで、
彼女が訪れるのを、ずっとずっと待つつもりだ。


▲「長い煙」
 
彼女が男装をしてサックスを吹くのには、
悲しい理由があると聞いている。
さびれたバーのバンドの一員、
長い煙の中で、彼女は時をとめる。
▲「掠れ声のジェシカ」
 
掠れ声のジェシカ、高音を苦しげに歌う。
彼女は「彼と別れた時少し泣いただけ」いつもそう言う。
さびれたバーで恋の歌を歌う。

▲「神様の指」

彼女は小さな頃、天才だった。
神様から授かった指だと、スポットライトの中で賞賛を浴びた。
さびれたバーで音を、音楽だけが彼女の友達だ。


▲「バンジョー」
 
肘を傷めたのはずいぶん前。
もうとっくに傷は癒えたはずなのに、未だ悪夢に犯されている。
振り切るように、弾け。夜は眠らないんだ。


▲「サックス」
 
一週間に一度、娘に会う。
その時には父親らしく、
プレゼントの一つでも持っていってやりたいんだ。

▲「トランペット」
 
これを吹く時だけ全てを忘れられる。
親友が死んだのは、少しだけ雨の降る
日曜日だった。


▲「トロンボーン」
 
楽器屋で張り付くようにして眺めてたトロンボーン。
別れたパパとママの最後のプレゼント。
私はどこにっても放さなかった。
とても大切なものだったから。


▲「マッチ」
 
このバーの名刺みたいなもの。
このマッチでタバコに火をつければ、
見たい夢が見られると聞いた。


▲「お酒」
 
このバーには特に変わったメニューはない。
でも、常連たちはメニューにないお酒を飲んでいることが多い。
トマト&ウォッカ+フレッシュレモン

▲「ライター」
 
バーのカウンターには一席ごとにライターが置かれている。
忘れたお客が手に取り持ってかえってしまう。
その繰り返し、
マスターはまたライターを置く。


▲「煙草」
 
煙草の匂いがする。
強いもの、弱いもの、フレーバーシガー…
掠れ声のジェシカのわすれものだ。
深夜をまわったバーは煙草の煙でけむっている。